
いきいきグループホーム日本橋
種別:
グループホーム
定員:
27名
目的:
負担軽減・業務効率化
取材日:2025/09
お話を伺った方 | 取締役 澤井 氏 現場責任者 平松氏
大阪市浪速区にある「いきいきグループホーム日本橋」(運営:株式会社サミット)は、27名定員のグループホームです。
手書きでのケア記録作成と一般的な夜間巡回という従来の介護スタイルから脱却し、見守りセンサー「aams」の導入とタブレット記録の運用に踏み切りました。
現在では、ICTが根付いた業務へと定着し、職員・利用者・家族の全てにメリットをもたらしています。
課題と導入背景
本施設では、以下のような業務上の課題を抱えていました。
- 入居者の状態変化をいち早く察知するための体制づくり
- 夜間帯の見守り体制と安心感の確保
- 記録業務にかかる職員の負担軽減と効率化
こうした課題に対して、見守りセンサー「aams」・介護ソフト「寿」の導入を決定。
導入の経過と成果
導入から半年以上が経過し、快適性の向上・業務の効率化・職員の安心感といった多面的な成果が現れてきているようです。
今回は、同法人の取締役・澤井氏、現場責任者の平松氏にお話を伺いました。

課題
- 夜間の定期巡回が入居者の安眠を妨げ、職員も心理的負担を抱えていた
- 手書き記録では記入漏れや転記ミスが発生しやすく、情報の正確性に不安があった
- 記録作業の手間が業務効率を下げており、一部の職員に負担が偏っていた
- 職員の欠員が施設経営に直結するため、効率的な働き方改革が急務だった
導入機器
- aams 14台
- 介護ソフト 寿
- タブレット端末
- インターネット環境の整備
導入の決め手
- 導入実績が豊富で、長期間安定稼働が期待できる信頼性(aams)
- 情報の一元化ができる記録システムとの連携性の高さ
- 少人数から段階的に導入でき、職員の不安や抵抗感を抑えられた
- 大阪府の介護テクノロジー導入補助金の支援を活用できた
効果
- 夜間巡回の効率化と入居者の安眠を妨げない見守り体制を実現
- データ共有ができ引継ぎがスムーズになり、ケアの質が安定
- 記録作業の時間が短縮され、業務負荷が軽減
- 離れていても状態確認ができるため、業務での不安が減った
- 「ICTがある現場」が定着しつつあり、求人や採用にも好影響の兆し
活用成功の決め手
導入から約8か月が経過し、現在では想定していた以上に自然に使いこなされるようになっています。特に、下記のような段階的な進め方と現場の工夫が、安定運用に結びついています。
試行期間を経て、現場の理解と納得感を醸成
すぐに全体導入をするのではなく、一定期間「試行導入」として機器を使用。
その中で実際に現場の職員が操作感や通知の頻度などを確認する機会があり、「これなら運用できる」という実感が醸成されていきました。
この“慣れるための時間”が確保されたことで、導入に対する不安の払拭につながり、全体導入へとスムーズに移行することができました。
準備8割とPDCAサイクルをしっかり回す
プロジェクトチームでの導入準備はもちろん、説明資料の整備や現場での動作検証、職員へのレクチャーなど、段階的な展開に向けた土台づくりがなされていました。
特に「現場に一定の裁量を持たせて任せたこと」が成功のポイントであり、チーム内に主体性が生まれたことで、導入後の定着にもつながったといいます。

研修と自主的な工夫で“使いこなせる実感”を強化
メーカーのサポートに加え、現場ではスタッフ同士での学び合いや活用方法の共有が行われており、センサー通知の扱い方、感度の調整、配置の工夫など、現場ごとの最適化が図られています。
「使っていく中で“ここを変えたらうまくいった”が出てくる」といった前向きな声が多く、結果として“自分たちで使いこなしている”という感覚の定着に寄与しています。
導入時の補助制度と支援機関の活用
導入時には「介護テクノロジー導入支援事業」の補助金を活用し、費用面でのハードルを下げることができました。また、大阪府介護生産性向上支援センターの伴走支援プログラムにも採択され、機器選定や運用定着までを支援してもらえたことが、導入成功の後押しとなっています。
確実に変わった業務のスタイル
見守り業務
居室へ行かなくても入居者の状態を的確に把握できるようになりました。
特に夜間の訪問頻度を減らせたことで、アラートが出たときだけ的確な確認を行う運用に変わり、職員と入居者双方の負担軽減につながっています。
従来はドアを開け、ベッド脇へ行き様子を確認していましたが、その必要が無くなり睡眠リズムを維持できる運用が定着し、生活全体の質にも良い影響を与えています。
ケア記録の入力業務
従来の手書きスタイルでは、転記ミスや記入モレ、記入内容の読み違いが発生しやすく、同じことを何度も聞いたり、正確な伝達のために時間がかかったりしていました。
現在はシステム入力へ完全に移行し、転記の手間がなくなったことで業務効率が向上しただけでなく、記録の信頼性も高まりました。
記録物の保管
紙の記録がほぼなくなり、事務所の限られた保管スペースの圧迫感から解放されました。
「ようやくペーパーレス化が実現できた」という声もあり、整理整頓のしやすさも業務の円滑さに貢献しています。

🗣 ご家族・スタッフの反応
ご家族からの反応
「モニターで状態をわかってもらえているなら、安心ですねー」
「夜間も安心して眠れているようで、ホッとしました」
見守りセンサー導入以前は、定期的な夜間巡回によって入居者が目を覚ましてしまうこともありました。
導入後は、巡回の回数を減らしつつも安全を確保できる体制が構築されたことで、「夜も静かで安心して過ごせているようでありがたい」といったポジティブな声が届くようになっています。
スタッフからの反応
「もう、無いと困る」
「引き継ぎがラクになった」
スタッフからは、「センサーがあることで、夜間の不安が減った」「状態がわかってから行けるので落ち着いて対応できる」という声が多く聞かれました。
特に記録面では、正確で漏れのない記録が実現できており、
データの記録が残っていることで、「言った・言ってない」の誤解もなくなり、職員同士の信頼関係も高まったとの声が上がっています。
チーム全体への影響
「共通認識」が増えてケアの質が向上
導入によって得られた「可視化された情報」が、チーム全体で共有されるようになり、ケア方針や対応への一貫性が高まりました。
提携している医療スタッフからは、「終末期の状態変化が捉えやすくなりとても助かっています」という声も受けています。提供しているケアの質や対応の確実性が向上したとのことです。
今後の展望
他ユニット・他施設への展開を視野に
現在、見守りセンサー「aams」の設置は一部のユニットに限定されていますが、将来的にはグループホーム全館への拡張が予定されています。さらに法人内の他施設への水平展開も検討されており、着実にステップアップを重ねています。
導入から半年以上が経過し、職員の理解や運用方法も十分に浸透してきたことから、「現場で定着する仕組みとして、次のステップに進めたい」という意欲が感じられます。
仕組みとしての定着と職員教育への応用
導入初期は機械に任せる不安を訴える声もありましたが、今では業務における必須ツールとして扱われるほどに根づいています。
この流れを一過性で終わらせず、新人職員や夜勤未経験者への教育ツールとして活用していくことも視野に入れられています。
「状態が見える」「行動に理由がある」といった視点を、仕組みとデータで支える介護として育てていくことが今後の課題でもあり目標でもあります。
「安心して働ける現場」づくりの要として
導入初期は機械に任せる不安を訴える声もありましたが、今では業務における必須ツールとして扱われるほどに根づいています。単に業務を効率化するだけでなく、職員が安心して働ける環境をつくるためのインフラとして考えています。
当法人や施設は、「職員にやさしい施設を創っていくこと、それがご利用者にとってもプラスになる」という考えで運営をしています。
現場の声を取り入れながら、人にやさしい施設づくりを推進していきます。
支援制度の活用
本取り組みは、令和6年度 介護テクノロジー導入支援補助事業を活用して実現されました。
さらに、大阪府介護生産性向上支援センターの「伴走支援プログラム」にも採択され、導入前の製品選定から効果測定、運用のポイントまで、専門アドバイザーとともに推進されました。
補助金制度の活用により初期費用の負担が軽減され、現場からも前向きな声が上がったことも導入の大きな後押しでした。
また、伴走支援によって経営層・現場双方の納得感ある導入プロセスが実現できたことが、定着と活用の成功につながったとも言えるでしょう。
テクノロジーがもたらした安心と変化
夜間巡回の在り方が変化し、入居者の安眠と職員の安心感が向上
従来は定時巡回により入居者の睡眠を妨げることが課題でしたが、見守りセンサー(aams)の導入により「必要なときだけ駆けつける巡回スタイル」が実現。職員の負担も軽減され、身体的・心理的な余裕が生まれました。
記録作業の効率化で業務の質とスピードが向上
紙からシステム記録への完全移行により、手書きや転記の手間が大幅に削減。情報の共有もしやすくなり、正確性と記録スピードが向上しています。
採用活動や職場認知のプラス評価にもつながる
ICTや介護テクノロジーがある現場として外部からの評価も高まり、施設見学や採用活動においても好影響が出ています。
運営推進会議でも当施設の取組みや導入後の変化を説明し、先進的な取組であることなど他施設からも見学希望を受けることが増え、先進的施設として注目をいただくようになりました。
まとめ・読者へのメッセージ
小規模施設こそ見守りテクノロジーの導入を
見守りセンサー「aams」の導入により、夜間巡回の負担軽減と入居者の安心感の両立を実現しました。
職員の欠員や突発的な勤務調整にも対応できるようになり、小規模ならではの運営課題の解消に直結する結果となっています。
現場スタッフからは「使ってみてはじめて便利さがわかった」という声も多く、テクノロジー活用が業務改善のきっかけとなりました。
澤井様からのメッセージ
「小規模な施設こそ、見守りセンサーのようなテクノロジーを取り入れるべきです。
職員が一人欠けるだけで現場は回らなくなる。これは経営上の大きなリスクです。
最初は消極的な声もありましたが、実際に成果が見えることで理解が進み、現場に浸透していきました。
今では“あって当たり前のもの”という認識が定着しつつあります。」
導入のインパクトは、単なる業務負担の軽減にとどまりません。
“テクノロジーは現場を支える基盤になる”として受け入れられたことが、ケアの質と職員の働きやすさ、双方の向上につながっていくと確信しています。

いきいきグループホーム日本橋について
大阪市内で、株式会社サミッツが運営するグループホーム。
お医者さんが運営し、提携医院や薬局も多く充実した医療体制が特徴。
「心を込めたケアで、いきいきとした毎日をお手伝い」をモットーに、職員同士の連携やケアの質向上にも積極的に取り組んでいます。
大阪メトロ堺筋線「恵美須町駅」からは徒歩6分とアクセス面も良好です。
設立
2015年5月
所在地
大阪府大阪市浪速区日本橋東2丁目5-18
施設種別
グループホーム
運営法人
株式会社サミッツ(いしかわ整形在宅クリニック運営)