この記事では、
生産性向上にまだ取り組んだことがない、または取り組み方がわからない施設に向けて、無理なく始められる具体的なステップをご紹介します。
『生産性向上って聞くけど、何から始めたらいいかわからない…』そんな悩みを抱える施設は少なくありません。
このページでは、生産性向上ガイドラインの内容に沿って、まず取り組むべきステップをわかりやすく解説します。
1.介護現場の生産性向上とは?初心者向け解説
生産性向上は、スタッフの負担を軽減し、業務の効率化を図ることで、より良い介護サービスを提供する取り組みです。
このガイドラインは、現場で簡単に取り組める具体的な手法を提供し、利用者や職員にとって働きやすい環境を作るための指針を示しています。
「生産性向上」という言葉を耳にすると、介護現場では「効率ばかり求めるのでは?」と心配されることがあります。しかし、介護現場における生産性向上の本質は、利用者のサービスの質を維持・向上させながら、職員の負担を軽減し、より良い職場環境を作ることです。
ここでは、生産性向上の基本的な考え方をはじめて取組む施設の方向けにわかりやすく解説し、その重要性についてお伝えします。
最初の一歩を踏み出すことで、継続的な成長と職場の魅力向上につながります。
2.業務改善の基本フレームワーク
業務改善において、効率的かつ効果的に取り組むためには、基本となるフレームワークを理解することが重要です。
「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」や「3M(ムリ・ムダ・ムラ)」といったフレームワークは、介護現場で特に有効とされています。
この章では、これらの基本フレームワークの具体的な内容と、現場での活用方法をわかりやすく解説します。
(1)5Sの活用
- 整理:必要な物を明確に分け、不要な物を排除。
- 例:倉庫や備品の整理で必要な物がすぐ見つかる状態に。
- 例:倉庫や備品の整理で必要な物がすぐ見つかる状態に。
- 整頓:取り出しやすいように物を配置。
- 例:緊急時に必要な書類や備品の定位置を決める。
- 例:緊急時に必要な書類や備品の定位置を決める。
- 清掃:清潔な状態を維持。
- 例:転倒リスクを防ぐため、日常的に床を清掃。
- 例:転倒リスクを防ぐため、日常的に床を清掃。
- 清潔:整理・整頓・清掃を維持する。
- 例:定期的なチェックリストで清潔な環境を確保。
- 例:定期的なチェックリストで清潔な環境を確保。
- 躾(しつけ):決められたルールを守る。
- 例:OJTで新人にルールや手順を定着させる。
(2)3Mの排除
- ムリ(無理):過度な負担を避ける。
- 例:利用者の移乗を1人で行うなど、身体的負担が大きい業務を見直す。
- 例:利用者の移乗を1人で行うなど、身体的負担が大きい業務を見直す。
- ムダ(無駄):不要な業務を削減。
- 例:手書き記録を廃止し、ICTを活用して記録を簡略化。
- 例:手書き記録を廃止し、ICTを活用して記録を簡略化。
- ムラ(ばらつき):作業のばらつきを減らす。
- 例:手順書を共有し、全員が同じ基準で作業を行えるようにする。
基本フレームワークを活用することで、現場での業務改善がよりスムーズに進められます。
この章で紹介した内容を参考にしながら、みなさんの施設に合った方法で実践を進めてみてください。
3.はじめてでも取り組みやすい改善のステップ
業務改善と聞くと「何から始めればよいかわからない」と感じる施設も多いでしょう。
しかし、具体的なステップが分かれば、一歩ずつ着実に進めることができます。
この章では、はじめて業務改善に取組む施設でも取り組みやすい改善のステップを順を追って解説します。初めての施設でも無理なく進められる内容ですので、ぜひ参考にしてください。
スタッフ全員で日常の「困りごと」を共有する。
チェックリストやアンケートを活用して課題を洗い出す。
整理・整頓などの簡単な取り組みからスタート。
ICTや記録ソフトを導入し、業務の効率化を進める。
改善による具体的な成果(時間短縮や作業効率向上)をスタッフと共有。
定期的なチェックや評価を行い、新しい課題に対応。
改善の第一歩を踏み出すことで、施設全体に前向きな変化が生まれます。
この章で紹介したステップを活用して、小さな成功を積み重ね、次の改善活動につなげていきましょう。
4.よくある改善事例
業務改善のヒントを得るためには、他の施設の成功事例を参考にするのが効果的です。
この章では、よくある改善事例を紹介し、それぞれのポイントや実践のヒントを解説します。
あなたの施設に合うアイデアがきっと見つかるはずです。
- 記録業務の効率化:
- ICTを活用して記録を電子化し、記入作業を削減。
- ICTを活用して記録を電子化し、記入作業を削減。
- 情報共有の改善:
- チャットツールや掲示板を導入し、タイムリーな連絡を実現。
- チャットツールや掲示板を導入し、タイムリーな連絡を実現。
- 職場環境の整理整頓:
- 備品の保管場所を統一し、探す手間を省く。
- 備品の保管場所を統一し、探す手間を省く。
- OJTの導入:
- 教育担当が標準化されたプログラムを活用し、スタッフのスキル向上を支援。
他の施設の成功事例から得られる学びを、ぜひ自施設の取り組みに役立ててください。
具体的な改善活動を始めることで、職員の意識改革にもつながります。
5.はじめての施設でも取り組める、業務改善のポイント
初めて業務改善に取り組む施設にとって、何から手をつければ良いか迷うことも多いはずです。
この章では、特に初めての施設でも取り組みやすいポイントを紹介します。
少しの工夫で大きな成果を得られる方法を解説しますので、最初の一歩を踏み出す参考にしてください。
1.現状を見える化する
まず、スタッフ全員で「日常の困りごと」を共有しましょう。
どの作業がストレスの原因となっているのか、どこで無駄が生じているのかを明らかにすることで、改善の優先順位をつけることができます。
ツール例:気づきシート、課題チェックリスト、簡単なアンケートフォーム
2.小さな改善から始める
「すべてを変えなければ」と思う必要はありません。
まずは、日常の中で目に見える改善から始めてみましょう。
例1):収納棚を整理整頓し、必要な物がすぐに見つかる環境を作る。
例2):記録を電子化し、紙ベースの重複作業を減らす。
3.成果を共有する
改善によって得られた効果をスタッフ全員で共有し、モチベーションを高めます。
たとえ小さな改善であっても、それが「次の改善への原動力」になります。
例):整理整頓により探し物の時間が10分短縮されたことを具体的に報告する。
4.継続的に見直す
業務改善は一度で終わるものではありません。
定期的に状況をチェックし、新たな課題を洗い出す仕組みを作りましょう。
ツール例:定期的なミーティングや評価シート
業務改善は小さな一歩から始まります。
この章で紹介したポイントを活用し、自施設でできることから取り組んでみてください。
継続的な努力が、施設全体の成長を後押しします。
これから始める施設へのアドバイス
これから改善活動を始める施設にとって、道筋が見えないことが最大の不安材料かもしれません。
この章では、業務改善に向けての具体的なアドバイスをお届けします。
スムーズなスタートを切るために、役立つヒントをチェックしてみましょう。
- 始めるのは「小さな一歩」から
- いきなりすべてを改善しようとせず、できることから始めましょう。
- いきなりすべてを改善しようとせず、できることから始めましょう。
- 改善の成果を共有する
- 小さな成功体験を積み重ね、スタッフ全員で達成感を共有することが大切です。
- 小さな成功体験を積み重ね、スタッフ全員で達成感を共有することが大切です。
- 外部のサポートを活用する
- 必要に応じての専門家やICT導入支援アドバイザーに相談し、効率的に進めましょう。
- 各地域に設置されている生産性向上窓口や介護DX支援センターにも相談できます。
改善活動を始めることは、施設の未来を切り開く大きな第一歩です。
この章のアドバイスを参考に、無理のないペースで取り組みを進めてください。
継続することで、施設全体が働きやすい環境へと変わります。
ツールのご案内
生産性向上ガイドラインに付録している改善のためのツールをご紹介します。
まとめ
生産性向上は、施設全体のサービス品質やスタッフの働きやすさを向上させる重要な取組みです。
このガイドラインを参考に、小さな一歩から初めてみてください。
成功体験を積み重ねることで、現場全体が「改善の楽しさ」を実感できるはずです。
具体的な課題や質問があれば、せひご相談ください!
専門家からのコメント
逢坂大輔(理学療法士・作業管理士)
大阪府介護生産性向上支援センター 業務アドバイザー
日々の忙しさの中で業務改善に取組むことが難しいと感じる施設も多いことでしょう。
「業務改善をしたいけれど、どこから始めればいいかわからない」という声をよく耳にします。そのため、「小さな一歩」から始めることの重要性を常にお伝えしています。
生産性向上ガイドラインは、単に効率化を目指すだけでなく、利用者へのサービスの質を保ちながらスタッフの負担を軽減し、働きやすい職場環境をつくるための道しるべです。
このガイドラインの特徴は、「どの施設でも取り組みやすい、具体的で実践的なステップ」が示されていることです。
私が現場で感じるのは、「生産性向上」や「業務改善」といった言葉に敷居の高さを感じる施設が多いということです。しかし、5Sや3Mといった基本的なフレームワークを使えば、だれでも始められるシンプルな方法から改善を進めることができます。
例えば、収納スペースを整理し、スタッフが必要な物をスムーズに取り出せる環境と作るだけでも「探す時間を減らす」という大きな効果が得られます。また、記録業務をICTで効率化することで、スタッフが本来集中すべきケアにより多くの時間を割けるようになります。
施設の取組みを支援する中で、「どうやって始めたらいいかわからない」という声をよく耳にします。そんなとき、私は「現状の課題を共有し、小さな成功を積み重ねることが第一歩」とお伝えしています。
そして、改善の成果をスタッフ全員で共有することで、現場の一体感が生まれ次のステップへのモチベーションが高まります。
メッセージ
介護現場の業務改善は、決して難しいことではありません。
一つひとつの小さな取り組みが、職場全体の働きやすさやサービスの質向上につながります。
介護DXナビでは、生産性向上を目指す施設の皆さまを全力でサポートしますので、どうぞお気軽にご相談ください。
「一緒に取り組む」姿勢で、現場の課題を解決していきましょう!
▼この取組に興味のある方はぜひお問い合わせください!▼